ダイオキシンとは
環境汚染の話題の際、よく名前が挙がる化学物質の一つにダイオキシンがあります。
ダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン(PCDD)および、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の総称で、「史上最強の毒性物質」といわれています。
ダイオキシン被害の代表例は、何と言ってもベトナム戦争においてアメリカ軍が使用した枯葉剤の被害でしょう。このとき使われた枯葉剤にはダイオキシンが含まれており、撒かれた地域の環境を著しく汚染し、その地域の住人や作戦にかかわったアメリカ兵の健康にも深刻なダメージを与えました。特にダイオキシンの発ガン性や催奇形性はすさまじく、この出来事によって、ダイオキシンの環境・人体への害が世界に広く知られるようになったのです。枯葉剤による「シャム双生児」などの奇形児の画像は、ご覧になった方も多いと思います。
ダイオキシンの害は現在でも続いており、世界各地で深刻な環境・健康被害を引き起こし続けています。
ダイオキシンによる環境汚染の一例
ダイオキシンは、塩素を含む物質が不完全燃焼した際に発生する物質で、本来は意図的に作られる物質ではありません。農薬やPCBの生成過程、金属の精錬・再生過程などで副産物として生じ、これが結果的に環境汚染を引き起こすのです。
ダイオキシンによる環境汚染で、日本で特に問題になっているケースとしては、都市ゴミや産業廃棄物の焼却施設から発生するものが挙げられます。こうした施設で、塩化ビニルや塩化ビニリデンといった、塩素を含むプラスチック類などの人工有機化合物が不完全燃焼した結果、ダイオキシンが発生して環境を汚染するのです。
ダイオキシンを廃棄物焼却施設から発生させないため、近年では、施設の構造や焼却条件などについてのガイドラインが示されるなどの対策がなされています。